フランスのお菓子ポ・オ・ショコラ

毎月一品フランス地方菓子をお届けしています。

2012年2月のフランス地方菓子
フランスのお菓子
ポ・オ・ショコラ
フランスで人気のショコラのデセールフランスのビストロやレストランのデセールの定番...

フランスで人気のショコラのデセール

フランスのビストロやレストランのデセールの定番には、表面をこんがりバーナーで焼き上げた「クレーム・ブリュレ」、チョコレートのムース「ムース・オ・ショコラ」、シュー皮にバニラアイスクリームを詰めてチョコレートソースをかけた「プロフィットロール」などがあります。
また、おいしいものを少しだけ、でも、全部食べたいという欲望を満たしてくれる欲張りデザート「カフェ・グルマン」も最近の人気のあるデセールのひとつです。デセールを小さく仕立てたものをいくつか楽しめて、その上カフェもついてくるお得なデザートがカフェ・グルマンです。

フランスの伝統的なお菓子のひとつ「プチ・ポ・オ・ショコラ」はママンの味!?

伝統的なデセールのひとつに「プチ・ポ・オ・ショコラ」という人気のデセールがあります。
「プチ・ポ・オ・ショコラ」は、小さな器に入ったなめらかなショコラのデセール。小さくておいしいショコラで食事を締めくくる楽しみは、女性、男性にも、もちろん子どもたちにも人気があるようです。
簡単につくることができるので、「プチ・ポ・オ・ショコラ」は、家庭でもママンの定番菓子のひとつ。なめらかなショコラ・クリームの上にできる層にショコラが凝縮されておいしいのだとか。

いろいろな陶器やガラス製のポットを使って仕上げられているポ・オ・ショコラ

ショコラ好きのフランス人

ショコラが嫌いな人がいるのでしょうか。そう思うくらい、フランス人はショコラ好きです。
ショコラのデザート、光沢のある、確かな技術でテンパリングされたボンボン・ショコラは、フランス人がため息をつくようなお菓子。
「プレゼントに迷ったら花束かショコラがいい」なんて格言もあるほど。
復活祭やクリスマスにはショコラのプレゼントが欠かせません。日本もバレンタインにショコラを贈る習慣がありますが、フランス人の消費量の25%ほどに留まります。

ハート型のボンボン・ショコラをのせた可愛らしい仕上げ。

フランスのチョコレート文化の始まりの地、バスク地方・バイヨンヌ

フランス・バスク地方の港町バイヨンヌは、ヨーロッパと新世界をつないだスペインにも近いため、17世紀、ショコラを作るためのカカオ豆がバイヨンヌ港からフランスへ到着しました。すでにショコラをつくる職人、ショコラティエが当時の職業として存在したのだそうです。スパイスたっぷりのショコラ・ドリンクが当時の人気。17世紀にはいまのように固形のショコラではなく、カカオの飲み物だったのですね。丸いティーカップに泡立てられたショコラがこんもりと盛られた、昔ながらのショコラ・ドリンクを楽しめるカフェが今でもバイヨンヌの町に残ります。残念ながら、大戦後にカカオ豆がバイヨンヌ港には入ってこなくなったのですが、今でもショコラの町として活気あふれる港町の雰囲気を色濃く残す小さな町です。

バイヨンヌがテーマになった、珍しいショコラのデザインの切手。
150年以上歴史のある老舗のチョコレートショップ「カズナーヴ」のサロン・ド・テの名物「ショコラ・ムスー」。チョコレートを手で泡立てた飲み物。アルティザン・テラ昨年の2月に取り上げた、バスク地方銘菓のチョコレート菓子「ベレ・バスク」。バスクの男性がかぶるベレー帽を象った形がユニーク。

ポ・オ・ショコラ

2月のお菓子は、地方菓子ということではなく、フランスで愛されているチョコレートのデザートを取り上げてみました。チョコレートが大好きなフランス人が、気軽に楽しむお菓子「ポ・オ・ショコラ」。
「ポ」とはフランス語でポット=器の意味で、わかりやすく言えば、器に入った濃厚なチョコレート味のプリンです。
上記でご紹介したように、レストランやビストロのデザートとして人気だそうで、パティスリーで売っているお菓子ではないようです。フランスのパティスリーで数年間の修行経験のあるアルティザン・テラのスタッフも、お菓子屋さん等で見たことはないとのこと。
大森先生のレシピも、パリの3つ星ホテルの社員食堂で食べたこのお菓子があまりにおいしかったため、シェフからこっそり聞き出したレシピをアレンジされたものだそうです。

アルティザン・テラのこだわり

卵、砂糖、ココア、チョコレート、牛乳、というシンプルな素材でできたデザート。
卵は山梨の山岳農場で、極力ストレスをかけないように放し飼いにされた元気なニワトリのもの。卵独特の臭みがなく、濃厚です。
牛乳は、熊本の阿蘇高原で育てられたジャージー牛から搾られた、乳脂肪分4%以上の乳。
そして、お砂糖、チョコレート、ココアはすべてオーガニック。カカオ分61%のスイートチョコレートは、苦味と酸味のバランスがよく、濃厚ながらもすっきりとした味わいです。
良質な材料を使うだけではなく、焼き方も工夫しています。ごく低温の湯煎でじっくり焼くことで、なめらかに、生クリームが入っているかのように濃厚な仕上がりに。このお菓子は壺のような容器に入れられることも多いようですが、今回はミルクピッチャーのような、アフターユースもできる陶器製のチャーミングな容器でおつくりしました。

日本もチョコレートブーム

明治時代に日本で初めて現在の日本橋でチョコレートの販売が始まったという文献が残っているそうです。それから、昭和30年代に、バレンタインにはチョコレートを贈ろう、というメーカーの仕掛けによりすっかり定着したバレンタインチョコレートの風習。
日本のチョコレートの歴史はヨーロッパに比べるとはるかに浅いものですが、サロン・ドュ・ショコラが日本でも開催され、世界での日本人のショコラティエの活躍ぶりを見ても、日本も非常にチョコレートに関心の強い国のひとつと言えるのではないでしょうか。
甘いものが苦手な男性でも、チョコレートなら大丈夫という方も多いはず。「ポ・オ・ショコラ」のシンプルなおいしさは、チョコレート好きだけではなく、皆様に味わっていただきたいものです。

大森由紀子先生プロフィール
お菓子とフランス総菜のお教室を主宰。
フランスの地方の伝統菓子や料理に魅せられ、その文化的背景とともに日本に紹介を続けている。
リッツ・エスコフィエ日本の日本窓口やガレットデ・ロワ・クラブの理事も務める。
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