ピカルディー地方のお菓子アミアンのマカロン

毎月一品フランス地方菓子をお届けしています。

2012年10月のフランス地方菓子
ピカルディー地方のお菓子
アミアンのマカロン
荘厳なアミアンのノートルダム大聖堂暗い雲が遠くでとぎれ、陽が差し込み、光の筋がの...

荘厳なアミアンのノートルダム大聖堂

暗い雲が遠くでとぎれ、陽が差し込み、光の筋がのびるとき、天からのお告げがあるような、天が作る神々しい時間があります。
アミアンの大聖堂のステンドグラスから差し込む陽の光は、まさに雲間の陽の光のような神の世界を感じる設計で、大聖堂を訪れる人々を天に誘います。
地上から100m以上もある尖塔が天と地をつなげるような気にもさせます。パリのノートルダム大聖堂より古くに建築され、イエスに洗礼を施したヨハネの遺骨が設置される由緒あるアミアンの大聖堂は、威厳のある姿でアミアンの町の中心に建っています。
町の中央に印象的な大聖堂と運河沿いにレストランがたつサンルー地区、中世からの伝統をもつ島に浮かぶ庭園“オルティヨナージュ”。パリから電車で1時間ほどの北の町は、観光客で、いつも賑わっています。

パリのノートルダムの2倍の大きさがある、建物の高さ
112.7m、奥行き145m、幅29.3m、内部の天井高は42.3mもある。様々なステンドグラスは壮麗で見応えがある。
ピカルディー地方の中心都市「アミアン」にあるノートル
ダム大聖堂は、ゴシックの王様といわれるほどで、フランス
最大のゴシック建築で世界遺産に指定されている。

アミアンの町が誇る「マカロン・ダミアン」

アミアンの町には名物のマカロンがあります。「手みやげにはアミアンのマカロンと決めているの」、とアミアンに住む友人のアンヌは言います。しっとりとした食感とアーモンドの香りがとびっきりで、淡い焼き色がついたマカロンは誰にも喜ばれる味とか。

140年の歴史とグランプリ受賞の銘菓

アミアンの町で6世代にわたってトロヌー一家が作るマカロンは、イタリアのヴェルヴィオ火山灰地に生えるアーモンドを使うのがおいしさの秘密なのだろう。第一次、第二次世界大戦の空襲で大聖堂以外がすべて燃え尽きてしまったとき、先代トロヌーのお店も破壊されてしまったという悲しい歴史を持ちます。その中でもメゾンは再建し、1992年にマカロン・ダミアンはSalon International de la confiserieの郷土菓子部門のグランプリを獲得しました。フランス各地に伝わるマカロンは、卵白、アーモンド、砂糖というシンプルな材料ながら、全く違ったおいしさを生み出します。
アミアンのものは蜂蜜を入れたしっとりとしたタイプで小さな台形に焼かれます。金色のアルミの紙に一つひとつ包まれたマカロンは、地元の人々に愛されている焼き菓子です。
アミアンの町のもうひとつの名物は、「ガトー・バチュ」という祝い菓子です。ブリオッシュのような発酵生地で、縦長の型で焼くお菓子は、結婚式、家族の集まる日曜日には欠かせないお菓子です。
シャンパーニュ、アルデンヌ地方からノルマンディーの東側までの広範囲で見られるお菓子で、ほろほろとくずれる食感が珍しいお菓子です。

ノートルダム大聖堂の中にある有名な「嘆きの天使」像。アミアンの町は フランスの地方ではあまり見
かけない、レンガの町といっていいほど、レンガ
の建物の街並が多く見られる。
町の中心街にあるジャン・トロヌー (Jean Trogneux)のお店。お店の表には1872年創業、今年でちょうど140周年記念の看板が大きく掲げられている。
お店の奥にはチョコレートで作った大きな大聖堂が飾られ、マカロン・ダミアンで1992年にグランプリを取った時のことも記されている。アミアンで売られていた「ガトー・バチュ」
ノルマンディーのマルシェで見かけた「ガトー・バチュ」町の観光みやげ的な売店にもジャン・トロヌー製の看板が。
ジャン・トロヌー の紙箱パッケージには、140周年記念のシールが貼られていた。ひとつ一つ個包装されたものが多いが、裸で袋に入っているものもある。

素材がぎっしり詰まったリッチなマカロン

アルティザン・テラで何度かご紹介しているフランス地方のマカロン。日本のパティスリーではなかなか見ることのない色々な形、食感の違いがお楽しみいただけるということでご好評いただいています。
ナンシー、モンモリオンのマカロンに続き、今回は、北フランスのピカルディー地方・アミアンという町で生まれたマカロンです。
世界遺産にも登録されているアミアンの大聖堂で有名な町であり、マカロンの有名店ではお店のパッケージにも大聖堂の絵が描かれたりしています。
今回のマカロンは今までご紹介してきたものに比べて、見た目以上にボリュームを感じ、かなり食べ応えがあります。生地を棒状に整えてから一晩おいて、厚めにスライスして焼く、というアイスボックスクッキーのような形も特徴。
アミアンのマカロン=フランス語ではMacarons d'Amiens「マカロン・ダミアン」と言います。

素材のこだわり

このマカロンの特徴は、卵黄が入っていること、はちみつを使っていること。他のマカロンのほとんどは卵白しか使わないので、卵黄独特のコクが加わります。
フランスでは、マジパン(アーモンドと卵白を合わせたペースト状のもの)や素朴なマカロンに、色や風味をつけることがあり、中でもビターアーモンドはよく使われる香りです。
今回アルティザン・テラではアーモンドのリキュールとオーガニックバニラビーンズで香りづけしています。希少なビワのはちみつを使うことで、とても風味豊かになりました。材料の中でも最も割合の高いアーモンドは、シシリー産の粗挽きアーモンドパウダーを使っています。

素材の香味を味わってください

粗挽きアーモンドのざっくり感、ねっちり感は他の地方のマカロンと共通する味。
アミアンのマカロンは、はちみつ、バニラ、アーモンドリキュールの香りが加わり、さらに、焼いて膨らますということもないので、素材がぎっしり詰まった、かなりリッチなマカロンです。
見た目は素朴ですが、味は洗練されたフランス菓子らしいもの。お菓子にとって香りは最も重要なものであることを納得させられるおいしさです。お日保ちに関わらず、アーモンドの風味が変わらないうちに、開封後は特にお早めにお召し上がりください。

大森由紀子先生プロフィール
お菓子とフランス総菜のお教室を主宰。
フランスの地方の伝統菓子や料理に魅せられ、その文化的背景とともに日本に紹介を続けている。
リッツ・エスコフィエ日本の日本窓口やガレットデ・ロワ・クラブの理事も務める。
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