毎月10日はラ・テール洋菓子店のサンクス・ケーキの日
ラ・テール洋菓子店の開店記念日は1998年5月。その初心を忘れないために、毎月10日をお客様感謝の日(サンクス・デー)として、その日にしか出ない「サンクスケーキ」を毎月一品開発し、ご予約のお客さまにだけにお渡ししています。この日だけのケーキですが、素材の産地を厳選し、通常のお菓子と同じように開発、準備をしてでき上がったものをご用意。数量も限定させていただいています。 サンクス・ケーキには毎年、年間を通じてのテーマがあります。たとえば、「ロールケーキ」の年もありましたし、「チョコレート」「シュー生地」がテーマの年もありました。
2021年のサンクス・デーのケーキのテーマは、ラ・テールの職人たちが、「今までに出会ったおいしいお菓子」。 担当者の人生観を変えるようなお菓子との出会いとストーリーを、今の自分が表現し、一期一会のケーキに仕立てます。
パティシエールの経験を生かしたオリジナルケーキ
今回の開発担当は、パティシエールの神田です。
フランス菓子のパティスリーにて職人を始めた季節は、クリスマス前の11月。そのお店では、クリスマスにショートケーキは並ばず、様々な種類のブッシュ・ド・ノエルが並んでいたそう。
そして、ラ・テール洋菓子店で初めて開発を担当したサンクス・ケーキは7月。その際に選んだ素材は、マンゴーとココナッツの組合せでした。
パティシエールとして十数年、転機となる時に出会ったケーキや素材は自らの原点とも言え、初心を思い出します。今回のサンクス・ケーキでは、今までの経験を活かし、組合せることで、オリジナルのケーキに挑戦しました。
夏の暑い日でもおいしく食べやすいように、食感や素材にこだわっておつくりしました。
夏のブッシュ・ド・ノエル
今回のサンクス・ケーキは、ブッシュ・ド・ノエルを基におつくりしました。
クリスマスケーキでおなじみのフランス発祥の伝統的なケーキ"ブッシュ・ド・ノエル"。ブッシュは、"薪"を意味し、ノエルは"クリスマス"を意味します。この形になった由来は諸説あり、一説ではクリスマスにキリストの誕生を祝い、夜通し暖炉に薪をくべて燃やしたことから、薪を模(かたど)ったそうです。薪の灰は厄除けの意味もあり、北欧などでは無病息災の意味があるなどと言われています。チョコレートクリームを使った、ロールケーキが昔ながらの形ですが、今では様々な素材でつくられ、今回のサンクス・ケーキではマンゴーとココナッツを組合せました。
宮崎県産マンゴーを贅沢に使いました
宮崎県の農家さんより送っていただく完熟マンゴーの味わいをお楽しみいただきたく、ムース、クリームにもこだわっておつくりしました。
マンゴームースは、暑い季節にもお召し上がりいただきやすいように口溶けの良い軽めの食感に仕立てました。マンゴームースで、キメが細かくふんわりもっちりとした食感のスフレ生地のロールケーキを包んでいます。ロールケーキの中には、ココナッツ風味の生クリーム(ココナッツファインを煮出した生クリーム)と、フレッシュのマンゴーをシロップに軽く漬けたコンポート。一体感があり、お口の中でとろけるような食感に仕上がりました。
マンゴームースの下には、マンゴーのクリームとココナッツファインを合せたアーモンド風味の生地を重ねて、風味と食感のアクセントになっています。
マンゴーのグラサージュで覆い、フレッシュのマンゴーとココナッツ風味の生クリームをたっぷりとあしらい、夏らしい瑞々しいケーキに仕立てました。
(開発担当:神田 千恵)
職人としての転機に出会った素材やケーキ。それぞれを組合せてオリジナルのケーキをおつくりしました。宮崎県産マンゴーをたっぷり使った夏のスペシャリテです。